会社人間だった父と偽装請負だった僕―さようならニッポン株式会社

グーグル―Google 既存のビジネスを破壊する佐々木俊尚さん経由

会社人間だった父と偽装請負だった僕―さようならニッポン株式会社を読了しました。

twitterに一言ばかり感想を書きました

読了。タイトルはほぼ釣りでした。「会社人間だった父と偽装請負だった僕―さようならニッポン株式会社」とりあえず、日本の物流がバッファというか遊びの無い様相というのはわかった。

とまぁ、短く言えばそういう感じ。偽装請負と言っても、赤澤氏はIT業界ではなく物流(トラック運転手)の偽装請負。で、その偽装請負の話も、終盤に1章分のみ出てくるもので、深い分析とかそういうものはほとんど無い。というのも、内容の大半を占めるのが著者の回想だから。

だけど、元都銀幹部の父を持つ著者の回想は、バブル以前の様子を思い起こすのにいいかもしれない。著者なりのもっと深い分析とかあれば良かったと思う。


印象に残った著者の弁をとりあげてみる。

第二章 追想

さいころから民主主義教育を受け、平等を叩き込まれてきたが、実際の世の中というのはとてつもない階層社会なのではないだろうか。

第八章 邂逅

持てる者と持たざる者の間には与えられる教育や情報の間での格差が厳然として存在する。校内暴力の横行する公立中学で学んだ後、私立大学へ通い、進学塾で教え、下町の中小企業を回り、裏社会で生き抜き、肉体労働の現場で働いた僕には身体にしみついた一つの確信がある。
この国は各階層間が固定化され、相互の移動が極めて少ない。社会的地位の変移にダイナミズムが乏しく極めて閉鎖的な社会である

この日本が階層社会であるという感覚はものすごく同意できる。権力を持った層は世襲があるし、貧困は再生産されるし。


本書では「なんのために働くか?」という問いかけをしているけど、その解には触れられていない。著者なりの考えを述べて欲しかったところでもあります。